作業療法士とはどんな仕事?仕事内容や特徴についても解説

コラム

2023/12/12

 

福祉の仕事について調べていると、よく目にする「作業療法士」という職業。興味があるので詳しいことを知りたいという方へ、この記事では職業の特長や仕事内容、実際に勤務した際の一日の流れなど、詳しく見ていきます。


もくじ

作業療法士とは

作業療法士の仕事内容

作業療法士の働き方

まとめ

 

 

作業療法士とは

作業療法士とはケガや病気などで障がいを負った人に、日常生活で行われるさまざまな「作業」を通してリハビリテーションを行い、症状の改善、緩和を目指す職業で、英語名の「Occupational Therapist」を略して「OT」と呼ばれます。

 

1、作業療法とは

作業療法士が支援する「作業」は食事や排泄、入浴や更衣などの一般的に日常生活で必要なものから、手芸や工芸、楽器の演奏などの趣味として行われるようなもの、計算やパソコンの操作などの仕事で行うことも見据えたものまでさまざまです。このような作業を通して症状の改善、緩和を目指すのが「作業療法」です。

 

もうひとつ作業療法士の重要な仕事として、「精神的なケア」があります。ケガや病気などで障がいを負った人や精神障がいを持っている人のリハビリテーションは、苦痛を伴ったり、根気が必要であったり、精神的に負担になるなどの場合があるので、身体的ケアと同時に悩みや不安の相談に乗ったりして心の安定も目指します。

 

2、資格

作業療法士は国家資格であり、「名称独占資格」という種類の資格ですので、国家資格を取得していないと作業療法士を名乗って働くことは出来ません。

 

国家試験を受験する為には「作業療法士養成校」を卒業しているか、卒業見込みである必要があり、養成校は専門学校や大学などが全国に約200校以上あります。ここで3年〜4年勉強し、医学的基礎知識から作業療法の専門的な知識や技術の修得、実際の臨床での経験などを積み、国家資格取得を目指します。国家試験の概要は次のようになっています。

○筆記試験

解剖学、生物学、運動学、病理学概論、臨床心理学、リハビリテーション医学、臨床医学大要および作業療法などが一般問題、実地問題に区分され出題される

○口述、実技試験

重度視力障がい者に対して、筆記試験の実地問題の代用で運動学、臨床心理学、リハビリテーション医学、臨床医学大要および作業療法などが出題される

 

国家試験は毎年2月に2日間に分けて実施され、合格率は70〜80%で推移しています。

 

3、理学療法士との違い

どちらもリハビリテーションにおける専門分野ですが、理学療法士は「運動療法(筋肉や関節の動きの維持、改善)」や「物理療法(電気、温熱、光線を用いた治療)」を通して寝返り、起き上がり、歩行などと言った日常の基本動作の獲得、回復を目指します。

 

それに対し、作業療法士は「作業」を通し、理学療法で獲得した基本動作の上に応用的動作や活動を積み上げていきます。前項でも少し触れましたが、精神の障がいにも専門的なアプローチが出来るのが作業療法士の特長で、これはリハビリテーションの専門職の中でも唯一となっています。

 

 

作業療法士の仕事内容

作業療法士の仕事内容は日常生活のさまざまな「作業」に焦点を当てて、対象者の身体や精神の機能、環境や本人のニーズに合わせて治療、指導、援助などを行います。作業療法では基本的動作能力、応用的動作能力、社会的適応能力の3つの能力を改善、維持することで生活の質を向上させ、自分らしい生活を送る事を目指します。それぞれ具体的に見ていきましょう。

 

1、基本的動作能力

運動、感覚、知覚、心肺や精神、認知機能がこれに当たります。

物理的感覚運動刺激(準備運動含む)、トランポリン、滑り台、ダンス、体操、風船バレーなどをおこない、ケアします。

 

2、応用的動作能力

食事やトイレ、家事などの日常生活で必要な活動がこれに当たります。

セルフケア(食事、トイレ、更衣、入浴など)、物品や道具の操作、コミュニケーション練習、金銭の管理、火の元、貴重品などの管理練習、福祉用具の作成と使用、退院後の住環境の調整などをおこない、ケアします。

 

3、社会適応能力

地域活動への参加、就労、就学、趣味の活動などがこれに当たります。

書字、計算、パソコンの操作、対人訓練、外出活動、銀行や公共機関、交通機関などの利用、絵画、楽器、ゲームなどをおこない、ケアします。

 

他にも生活環境を改善する為の相談や、家庭、職場内での相談、ライフスタイル設計などをさまざまな方法でサポートします。その為活躍の場も幅広く、主な就職先は医療分野では大学病院、総合病院、クリニックなど、福祉分野では障がい者施設、児童福祉施設など、介護分野では老人保健施設、デイケアセンターなど、保険分野では地域包括支援センター、保健センターなど、職業関連では、就労支援事業施設、ハローワークなど、教育分野では特別支援学校となっています。

 

 

 

作業療法士の働き方

作業療法士は施設によって働き方に多少の違いはありますが、毎日スケジュールが細かく決まっていて、忙しく動き回ることもあります。まずは朝出勤したら医師や看護師、理学療法士などとミーティングをし、その日のスケジュールや伝達事項などを共有します。担当するリハビリはあらかじめ決められたスケジュール通りに入所、通所の利用者に実施され、9時から1人目、10時から2人目といったようにあらかじめ担当の対象者と時間が決められていて、学校の時間割のような形で業務を進めます。

 

1人当たりのリハビリの所要時間は急性期(ケガを負ったり症状が発生した直後)であれば1回20分~40分程度、回復期(急性期後の1~4か月くらい)であれば1回40~60分程度となり、1日に数人から10人程度にリハビリをおこないます。

 

リハビリとリハビリの間もカルテを確認したり作業に使用する道具を揃えるなど準備しなければなりません。対象者は一人一人症状が違うため、毎回合わせた準備をおこなう必要があります。リハビリが終了したら、カルテの記入などのデスクワークもこなし、次のリハビリに備えてプログラムの作成なども行います。このようにスケジュールがしっかり決まっているので、残業などはあまりおこないません。通所、入所複合施設での一日のおおまかな流れの一例を見てみましょう。

 

8:30 出勤、利用者の容体などについてミーティング

9:00 リハビリ(通所利用者)

12:00 昼休憩

13:00 リハビリ(入所利用者)

16:30 デスクワーク(カルテ記入、リハビリプログラム作成など)

17;00 施設全体で症例検討など勉強会

18:00 退勤

 

勤務する施設によって差はありますが、一般的に激務という忙しさはないですが、新人のうちは一つ一つの業務に時間がかかります。キャリアを重ねていけばスムーズにこなせるようになり、余裕を持って働くことができそうです。休日は基本的にシフト制が多いですが、介護施設などであれば土日祝日が固定で休みのところも多くあります。

 

 

まとめ

日常動作のリハビリテーションからメンタル面でのケアまで幅広く担当する作業療法士は、現代社会のニーズの多様化によって、今後も活躍の場が拡大していくと見込まれています。ケガや病気で身体に障がいを持った人々の支えになって、一緒に人生を切り開いていける、やりがいのある職業なので、是非チャレンジしてみてください。

 

療育キャリアでは、一人一人の求職者様のご希望に合った福祉系のお仕事をご紹介しています。無料で簡単に登録できますのでお気軽にご相談ください。



この記事の関連記事

自閉症支援のツール徹底ガイド!療育現場で役立つ実践的なツール選びとは?

この記事では、自閉症支援ツールの選び方と具体的な活用方法を解…

この記事では、自閉症支援ツールの選び方と具体的な活用方法を解…

療育の現場における衛生対策の基本や感染症予防の方法について解説

  「福祉の仕事をしたいけど、療育現場の衛生管理ってどんな…

  「福祉の仕事をしたいけど、療育現場の衛生管理ってどんな…

療育におけるマカトンサイン(療法)とは?期待できる効果や実施方法について紹介

  福祉の仕事について調べていると、たまに目にする「マカト…

  福祉の仕事について調べていると、たまに目にする「マカト…

ムーブメント教育・療法とは?期待できる効果や実施方法について紹介

  福祉の仕事について調べていると、時折目にする「ムーブメ…

  福祉の仕事について調べていると、時折目にする「ムーブメ…

療育におけるインリアルアプローチとは?期待できる効果や実施方法について紹介

  福祉の仕事について調べていると、目にすることがある「イ…

  福祉の仕事について調べていると、目にすることがある「イ…

療育におけるソーシャルストーリーとは?期待できる効果や実施方法について紹介

  福祉の仕事について調べていると、時折目にする「ソーシャ…

  福祉の仕事について調べていると、時折目にする「ソーシャ…

療育におけるポーテージプログラムとは?期待できる効果や実施方法について紹介

  皆さん「ポーテージプログラム」という言葉をご存じですか…

  皆さん「ポーテージプログラム」という言葉をご存じですか…

療育における絵カード交換式コミュニケーションシステム(PECS)とは?期待できる効果や実施方法について紹介

  福祉の仕事を調べていると目にすることがある、絵カード交…

  福祉の仕事を調べていると目にすることがある、絵カード交…

新着記事

自閉症支援のツール徹底ガイド!療育現場で役立つ実践的なツール選びとは?

この記事では、自閉症支援ツールの選び方と具体的な活用方法を解…

療育の現場における衛生対策の基本や感染症予防の方法について解説

  「福祉の仕事をしたいけど、療育現場の衛生管理ってどんな…

療育におけるマカトンサイン(療法)とは?期待できる効果や実施方法について紹介

  福祉の仕事について調べていると、たまに目にする「マカト…

ムーブメント教育・療法とは?期待できる効果や実施方法について紹介

  福祉の仕事について調べていると、時折目にする「ムーブメ…

療育におけるインリアルアプローチとは?期待できる効果や実施方法について紹介

  福祉の仕事について調べていると、目にすることがある「イ…

療育におけるソーシャルストーリーとは?期待できる効果や実施方法について紹介

  福祉の仕事について調べていると、時折目にする「ソーシャ…

療育におけるポーテージプログラムとは?期待できる効果や実施方法について紹介

  皆さん「ポーテージプログラム」という言葉をご存じですか…

療育における絵カード交換式コミュニケーションシステム(PECS)とは?期待できる効果や実施方法について紹介

  福祉の仕事を調べていると目にすることがある、絵カード交…

療育における食事療法とは?期待できる効果や実施方法、注意点について紹介

  福祉の仕事について調べていると、療育分野において時折目…

療育における薬物療法とは?期待できる効果や実施方法、注意点について紹介

  福祉の仕事について調べていると、時折目にする「薬物療法…

人気記事ランキング