療育におけるポーテージプログラムとは?期待できる効果や実施方法について紹介
コラム
2023/12/19
皆さん「ポーテージプログラム」という言葉をご存じですか?
「ポーテージプログラム」は、療育の分野で活用されている方法の一つです。発達に遅れのある子どもを対象に、ABA(応用行動分析学)などの方法も用いて子どもの成長のために実践されています。福祉の仕事をお探しの方も、参考になるような情報を詳しく解説します。
もくじ
ポーテージプログラムとは
ポーテージプログラムは、アメリカの小さな町ポーテージで1972年に始まり、発達に遅れがある子どもたちへの早期療育を提供している画期的なプログラムです。このプログラムは、その成果が顕著であり、全米そして世界に広がりました。
ポーテージプログラムは、子どもたちの個別な発達段階や環境に合わせて構築された指導計画が特徴で、発達に懸念のある子どもたちに対して、なるべく早い時期から早期教育を提供することを目的としています。このプログラムは、以下の6つの要素に基づいています。
①一人ひとりの子どもの発達や置かれた環境に対応して、指導計画を立てる個別指導のプログラムです。
②親を中心に家族が、日常生活の中の自然な機会を利用して、指導するプログラムも展開されています。
③応用行動分析学(ABA) の原理を基礎にし、指導目標の達成、維持、般化とともに問題行動の軽減を支援します。
④行動の観察、記録に基づいて、指導を実施するエビデンスベーストアプローチのプログラムも取り入れられています。
⑤子育てに関わる家族全員を支援し、エンパワメントします。これは、笑顔で子育てに取り組むことを奨励し、虐待防止にもつながります。
⑥福祉における児童発達支援の場、幼児教育や特別支援教育の場でも個別の発達支援や親・家族支援のツールとして活用されています。
このプログラムは、言葉の発達が遅れている子どもから、自閉症スペクトラム障害、脳性マヒなどさまざまな原因による発達遅滞の子どもまで、広い範囲にわたって相談を行っています。
総合的かつ個別対応の手法で、子どもたちの発達支援と未来への可能性を拓く新しい旗手として、ポーテージプログラムは多くの注目を浴びています。笑顔と愛情に満ちた子育てを実現し、発達に課題のある子どもたちがより豊かな未来を築けるようサポートしています。
ポーテージプログラムの期待できる効果
ポーテージプログラムは、家庭での効果的な指導が早期から即効性を発揮し、子どもたちの個別性を尊重したアプローチが特徴です。その効果についてご紹介します。
即効性:
家庭環境での指導は、身近な保護者や家族が行うことで即効性があります。親しい存在からのサポートは、子どもたちの成果を容易に表します。
個別性:
プログラムは子ども一人ひとりの個性を重視し、好きなことに基づいた個別の課題を提供します。この個別性が、子どもたちの興味を引き、成長に寄与します。
維持・般化:
愛情に満ちた家族のほめ言葉やサポートは、子どもたちの行動を定着させやすくします。ポジティブな経験は、子どもたちが新しい状況でも同様の行動を取る助けになります。
ポーテージプログラムは、言葉の発達が遅い子どもから、発達障害や脳性麻痺まで、発達に課題のある広範な子どもたちに適しています。乳幼児健診で気になる点がある場合や、同年代と比べて異なる様子を見せる場合など、様々な状況に応じてサポートが提供されます。
対象は発達年齢が0歳~6歳の子どもとその保護者ですが、小学校入学後もプログラムを継続することができ、一貫して子どもたちの成長をサポートしています。愛情と個別性が交わるポーテージプログラムは、子どもたちの可能性を引き出し、安心して成長できる手助けとなっています。
様々な効果が期待できるプログラムになっています。
ポーテージプログラムを行う際の流れ
ポーテージプログラムは、子どもの発達に課題のある家庭に寄り添い、個別のニーズに合わせたサポートを提供する画期的なプログラムです。その具体的な実施手順について掘り下げてみましょう。
1. アセスメント(評価)フェーズ:
ポーテージ相談員が親や家族と協力し、子どもの発達と環境を徹底的に評価します。標準化された発達検査や行動観察、チェックリストを通じて、子どもの個々の成長を把握します。例えば、片手を支えられて階段をのぼる、積み木を6個積むなど、具体的な行動項目を確認します。
2. 行動目標の設定:
アセスメントの結果をもとに、子どもに適した機能的な行動目標を設定します。これは、子どもが成長する上で必要なスキルや行動を具体的に示したものであり、家族と共有されます。個別性を尊重し、子ども一人ひとりに最適な目標を定めます。
3. 指導計画の立案:
得られた情報に基づいて、家庭で取り組める具体的な指導計画を立てます。活動カードや課題分析などのツールを活用し、子どもが理解しやすい形で目標に向かって進むためのプランを構築します。この段階で、家族との密なコミュニケーションが鍵となります。
4. 家庭での実践:
指導計画をもとに、家庭で一定期間にわたり実践を行います。親や家族が積極的に参加し、子どもの行動をサポートします。一緒に活動したり、課題に取り組んだりすることで、子どもの成長を促進します。このフェーズでは、行動の変化や進捗を観察します。
5. モニタリングと進捗:
家庭での指導を記録したシートを使って、指導経過と結果をモニタリングします。子どもの反応や変化を共有し、次のステップに進むためのアプローチを検討します。家族との密接な連携が、プログラムの効果を最大化するポイントです。
ポーテージプログラムは、子どもの行動を変える際には、その行動に先行するきっかけや、後続する結果を注視します。この中で、行動の増減や新しい行動の形成に注力し、子どもがより望ましい行動を身につけるようサポートします。また、機能的なコミュニケーション手段の確立や、望ましくない行動の変換にも焦点を当てます。
ポーテージプログラムの成功には、子どもと家族との深い信頼関係が欠かせません。行動の変化だけでなく、家庭全体の雰囲気やサポートの在り方にも注意を払い、笑顔と理解に満ちたプログラムを提供しています。
まとめ
今回は、ポーテージプログラムについて詳しくお話しました。
このプログラムを調べると導入している施設も全国に多数あります。ポーテージプログラムに興味のある方は福祉の仕事を調べるときにぜひ一緒に調べてみて下さい。
療育キャリアではひとりひとりの希望に合った福祉関係の仕事を紹介しています。
登録は無料で簡単に行えますので、是非お気軽にご相談ください。
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