ASD(自閉症スペクトラム)とは?診断基準や特徴、子供への対応方法について解説
コラム
2023/12/12
福祉の仕事について調べていると発達障がいと児童福祉の中でよく目にする「ASD(自閉症スペクトラム)」という名称。何となくしか知識が無いので、仕事の上でどうかかわって来るのか知りたいという方の為に、この記事では詳しい知識と診断基準、ASD(自閉症スペクトラム)をもつ子供への接し方など、解説していきます。
もくじ
ASD(自閉症スペクトラム)とは

自閉スペクトラム症、自閉症スペクトラム障がいとは「Autism Spectrum Disorder」の頭文字を取って「ASD」と表記するもので、発達障がいの一つです。
特長としては、「対人関係や社会的やりとり」が困難だったり、興味、関心の限定、特定の行動を繰り返すなどの「こだわり行動」があります。これはコミュニケーション能力や社会性に関する脳機能の偏りが原因とされ、「自閉症」や「アスペルガー症候群」もこれに含まれるという考え方が一般的になってきています。それぞれの項目について詳しく見ていきましょう。
1、基本特性
○対人関係、社会的やりとりが困難
対人関係が困難で、相手の気持ちを理解する、空気を読むといったことが苦手、言われたことを表面的に受け取るので、暗黙のルールや冗談、比喩などが理解できず、社会的なやりとりが難しいなどの特性があります。
○こだわり行動
興味や関心が極端に偏っていて限定されている、物を置くときの配置や物事の順番、勝ち負け、自分なりのやり方に強い固執があったり、特定の行動を繰り返しおこなうなどの「こだわり行動」も特性の一つで、その種類や程度はまちまちです。また感覚刺激に敏感、または鈍感、手先が不器用などの傾向も見られます。
2、原因
自閉スペクトラム症、自閉症スペクトラム障がいの原因は脳の障がいであると言われています。これは生まれつきのもので、脳の機能に何らかの不具合があり起こるものとされ、育った環境や親の育て方、しつけ、本人の元々の性格は関係がないことがわかっています。
脳の機能の不具合が原因の為、根治は難しく、基本特性に沿った配慮と生活環境の調整、療育や教育によって症状の改善、緩和、発達の促進を目指します。
3、診断名の統合
2013年に刊行された精神障がいの診断、統計マニュアルであるDSMー5(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders)により、自閉症、アスペルガー症候群、広汎性発達障がいなどが統合され、自閉スペクトラム症、自閉症スペクトラム障がいという診断名が採用されました。
ASD(自閉症スペクトラム)の診断基準と特長

診断基準や特長について見ていきましょう。ASD(自閉症スペクトラム)の特性は生後2年目に表れてくることが多いとされ、早ければ1歳半検診のときに気づかれることもありますが、特性が見られたとしても大学病院や総合病院、小児科、児童精神科、小児神経科や発達外来などのうちの特定の医療機関しか診断を下すことはできません。
1、診断基準
前述の精神障がいの診断、統計マニュアルであるDSMー5(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders)の診断基準に基づいて診断がおこなわれます。ここには基本特性である「対人関係、社会的やりとりが困難」と「こだわり行動」によるいわゆる「困りごと」が「複数の状況(学校や課程など)で起きていること」、「困りごとにより日常生活や社会生活に大きな影響が出ていること」、「6か月以上継続していること」などの基準が記載されています。
2、診断方法
診断にはいくつかの方法を数日にわけておこない、総合的に判断されます。
○問診
医師が子供の普段の家庭や学校での様子を保護者にヒアリングします。母子手帳や連絡帳などのこれまでの記録を持参します。
○行動観察
医師が子供の遊んでいる様子を観察し、特性が表れているか判断します。
○検査
心理検査、知能検査、テストなどによって発達水準、知能水準などの評価をおこないます。年齢によって「WISCーⅣ知能検査」や「田中ビネー知能検査Ⅴ」などを使い分けます。
3、治療方法
前項でも触れましたが、脳の機能障がいが元になっている為、根治が難しいとされています。子供の特性に合わせていわゆる「困りごと」を減らしていくことを目指します。
○環境調整
子供の特性に合わせて生活環境を調整して、子供が安心して過ごせるように配慮します。
○療育
未就学の子供には「児童発達支援センター」や「児童発達支援事業所」、就学後から18歳までは「放課後デイサービス」などの児童福祉施設を活用し、療育を受けます。
4、特長
個人差はありますが、年代によって表れやすい行動特性があるとされているので、紹介します。
○0~1歳
抱っこを嫌がる、寝つきが悪い、ミルクを飲みたがらない、あまり泣かない、笑わないなど
○2~3歳
喋ったり単語を覚えるのが遅い、呼びかけに反応しない、一人遊びが好き、触られるのを嫌がる、視線を合わせないなど
○4~6歳
集団行動が苦手、同年代の子供と上手く遊べない、ままごとなどの「ごっこ遊び」が苦手、順番や置き場所にこだわりがある、同じ遊びを何回もするなど
ASD(自閉症スペクトラム)の子供への対応の仕方

実際に起こる、いわゆる「困りごと」とその対応をいくつか紹介します。
1、相手の気持ちがわからない
相手の表情から気持ちを読んだり、場の空気を読む、身振り手振りの意味を理解するのが苦手な場合が多く、集団行動を乱したり、相手を無意識に傷つけてしまうことがあります。対応方法としては、表情だけでなく言葉でしっかり状態を説明する、「あれ、それ」といった代名詞は避け、具体的な名称を伝える、暗黙のルールなどは避けるなどがあります。
2、複数の指示を守れない、抽象的な内容を理解できない
手を洗ってからおやつを食べるなどの段階的な指示を守ることが難しく、複数になると聞き逃してしまったり、抽象的な内容だと理解できない場合があります。対応方法としては、一つずつ指示をし、実行してから次の指示をする、伝えたいことは具体的に、視覚的要素なども含めるなどがあります。
3、時間を守れない
時間などの目に見えない概念を理解するのが苦手なことも多く、「何時から何時」と言った行動ができない場合があります。対応方法としては時計のイラストを使って視覚的に理解を促したり、タイマーの合図などで開始と修了をわかりやすくします。
4、感覚過敏
光や音、温度、匂いなどの感覚刺激に過敏に反応してしまい、パニックになったり感情のコントロールができなくなる場合があります。対応方法としては生活環境を静かで刺激の少ない環境に調整する、外出の際は耳栓やサングラスなどを上手く活用し、刺激を受けづらくするなどがあります。
これらのことで上手く「困りごと」をコントロールしながら、特性を子供の個性として前向きに捉えることで、子供の自信や自己肯定感を育むことも可能になってきます。
まとめ

ASD(自閉症スペクトラム)は脳の機能の不具合からくる障がいで、しつけや育て方の問題ではないということがハッキリと認知されていますので、「子供の個性」と前向きに捉え、上手に付き合って、長所を伸ばすように考えていくことで、いい結果に繋がっていきます。適切なサポートや支援によって一人一人が過ごしやすい社会を作っていくことが重要です。
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