ADHD(注意欠如・多動)とは?診断基準や特徴、子供への対応方法について解説
コラム
2023/12/12
福祉の仕事について調べていると、児童福祉の中でよく目にするADHD(注意欠如・多動)という言葉。ぼんやりとは理解しているつもりだが、仕事で関わる可能性があるので詳しく知りたい、という方の為に、この記事ではADHD(注意欠如・多動)とはどういったものか、診断基準と特長、実際に子供に接する際の注意点など、詳しく解説していきます。
もくじ
ADHD(注意欠如・多動)とは

ADHD(attention deficit hyperactivity disorder)は「注意欠如・多動症」、「注意欠如・多動性障がい」と呼ばれる障がいで、「不注意(集中力がない)」、「多動性(じっとしていられない)」、「衝動性(思いつくと行動してしまう)」といった症状があります。以前は「注意欠陥・多動性障がい」という診断名でしたが、2013年に刊行された精神障がいの診断、統計マニュアルであるDSMー5(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders)により変更されました。
この障がいを持つ子供は、授業に集中できずに他のことをしてしまったり、じっとしていられず席を立ってしまう、物をすぐになくしてしまったり、忘れ物が多かったりといった特性があり、叱られることが多くなってきます。
その症状の現れ方から大きく分けて3つのパターンがあるので、順に見ていきましょう。
1、不注意優勢に存在
「不注意」の症状が強く、「多動性・衝動性」の症状が少ないタイプです。集中し続けることが難しいので、話している途中で他のことが気になったり、外的刺激で気がそれてしまったり、物をなくす、忘れることが多いのが特性です。逆に自分の好きなことをしていると集中しすぎて周りのことがわからなくなることもあり、呼びかけに応えなかったりもします。
2、多動・衝動優勢に存在
「多動性・衝動性」の症状が強く、「不注意」の症状が少ないタイプです。じっとしていることが難しいので、授業中に勝手に席を立ってしまったり、静かにしなくてはいけない場面で声を出してしまう、無意識に身体が動いてしまう、思いついたことをすぐに実行してしまうなど、集団行動を乱すような行動を取り、落ち着きがないと言われてしまいます。
3、混合して存在
「不注意」の症状と「多動性・衝動性」の症状のどちらも強く見られるタイプです。その特性から失敗して?られることが多く、問題児扱いされてしまいます。
調査によると、子供で全体の約5%、成人で全体の約2.5%がADHDの症状があるとされ、男性の方が女性よりも発現率が高いと言われています。また女性は「不注意優勢に存在」のタイプが多いという調査結果もあります。
現在ADHDは、物事を整理したり、行動のコントロールなどをおこなう脳の前頭葉の神経系に不具合がある、脳の機能障がいとして考えられています。その要因として遺伝や生育環境、その相互作用などさまざまなパターンが考えられていて、詳しくわかっていません。しつけや育て方の問題ではないということは知っておいてください。
ADHD(注意欠如・多動)の診断基準と特長

ADHDがどんな発達障がいなのかおわかりいただけたと思います。診断基準も細かく定められていますので、見ていきましょう。
1、診断基準
ADHDの診断は前述のDSMー5に基づいておこなわれ、次の5つを満たしたときにADHDと診断されると厚生労働省が定めています。
○「不注意」と「多動性・衝動性」が同程度の年齢の発達水準に比べて、より頻繁に、強く認められること
○症状のいくつかが12歳以前より認められること
○2つ以上の状況において(家庭、学校、職場、その他の活動中など)障がいとなっていること
○発達に応じた対人関係や学業的、職業的な機能が障がいされていること
○その症状が統合失調症、または他の精神病性障がいの経過中に起こるものではなく、他の精神疾患ではうまく説明されないこと
ADHDは4歳以前にはどこまでが発達の個人差の範疇か診断が難しいとされ、ほとんどは学齢期に明らかになると言われています。診断は発達障がいの専門外来がある小児科、脳神経小児科、児童精神科などで「問診」、「行動観察」、「心理検査」の結果から総合的におこなわれます。
○問診
医師が保護者に家族歴や妊娠中の経過、成育歴や既往歴、1歳6ヵ月検診や3歳児検診での結果と様子、自宅や学校での子供の普段の様子、気になる点や困りごとなどをヒアリングします。
○行動観察
子供の遊んでいる様子の行動パターンや、対話の様子などを医師が確認します。
○心理検査
WISCや田中ビネー知能検査などの知能検査、新版K式発達検査などの発達検査を子供の年齢や症状に合わせておこないます。
2、特長
ADHDのある子供によく見られる行動の特長は以下のようなものがあります。
○落ち着きがなく、注意を持続することが難しい
○気が散りやすく、集中力が続かない
○なくしもの、忘れ物が多い
○ルールを守ることが難しい
○指示を理解できても従うことが難しい
ADHD(注意欠如・多動)の子供への対応の仕方

これまで触れたように、集団行動を乱したり、失敗することが多いので、「叱られる」ことが多くなってしまいます。そうすると自分に自信が持てなくなってしまい、さまざまな支障が出てきてしまいます。以下の点に注意して接するようにしてください。
○できることをしっかり褒める
どうしても「できないこと」が目立ってしまいますが、そればかり注意されていると、子供は自信をなくしてしまいます。「できること」をしっかり褒めてあげることで、自信をつけ、チャレンジしていく気持を育みます。
○長所を伸ばす
普段集中できない子供でも、自分の好きなことには呼びかけに応えないくらいの集中力を発揮する子供もいます。長所を見つけ、そこを伸ばしてあげることで、自己肯定感を育むことが期待できます。
○失敗しないようサポートする
忘れ物が多い子供には一緒に持ち物を確認したり、気が散りやすい子供には整理整頓をして気が散る要因を減らすなど、先回りして対策することで失敗を減らし、生活しやすいようにサポートします。
○静と動のメリハリをつける
ずっとじっとしていることが難しい場合、途中に小休止を入れ、身体を動かす時間を設けることでメリハリをつけ、無理に多動性を押さえつけないようにします。
○子供と一緒に考える
失敗しやすいこと、悩みなどを子供と共有し、一緒に対策を立てます。その結果、成功体験が得られれば、子供の自信に繋がっていきます。
このように保護者や周りの大人がサポートしてあげることで、ADHDを持つ子供も安心して生活できるようになります。「ペアレントトレーニング」と呼ばれる保護者向けの対処法プログラムもありますので、知っておいてください。
まとめ

ADHDを持つ子供は色々勘違いされてしまいがちです。障がいのことをしっかり理解して、上手く付き合っていけば、過ごしやすい環境を提供することもできますので、適切なサポートを心がけましょう。
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