TEACCHプログラムとは?ABA(応用行動分析学)との違いや行う流れについて解説
コラム
2023/12/19
みなさんは「TEACCH(ティーチ)プログラム」という言葉を耳にしたことはありますか?
「Treatment and Education of Autistic and related Communication-handicapped Children」の
頭文字を取って名付けられています。
日本語訳すると「自閉症および関連するコミュニケーション障がい児童の治療と教育」です。
日本においても、TEACCHプログラムの原則や方法論が導入され、
自閉症を持つ人とその家族に対する支援の一部として使用されています。
今回はそんなTEACCHプログラムについて解説していきます。
もくじ
TEACCHプログラムとは

TEACCHプログラムとは、自閉症スペクトラム障がい(ASD)の人々やその家族に対する
教育的および支援的なアプローチを提供するために開発された療育プログラムです。
TEACCHプログラムは、アメリカ合衆国のノースカロライナ大学チャペルヒル校の
TEACCH自閉症プログラムによって創設され、その後世界中で広く採用されています。
プログラムの主な目標は、自閉症スペクトラム障がいを持つ個人の生活の質を向上させ、
学習や就労といった社会生活のなかで自立して有意義に暮らせるよう支援することです。
TEACCHプログラムには基本としている原理・理念があります。
1.自閉症の本質は器質的な問題であり、それがさまざまな困難さにつながっている
2.療育は、家族と支援者が親密に協力して行うものである
3.療育を行うものは、専門家を超えたジェネラリスト(多方面の知識を持つ人)でなくてはならない
4.療育プログラムは包括的に行われるべきである
5.当事者の人生全般にわたって支援をしていくこと
6.個別化された療育プログラムを実践していくこと
この理念は、自閉症の特性を障がいではなく文化としてとらえ、
自閉症の人々を一般の人と異なる文化をもつ人々として接するという価値観からきています。
自閉症の特性を世間の常識に無理に当てはめるのではなく、周囲が理解し許容した上で
社会に適応できるように支援を行っていく、というのが基本原理となっています。
TEACCHプログラムとABA(応用行動分析学)の違い

TEACCHプログラムと同じく自閉症をもつ人への支援として「ABA(応用行動分析学)」というものがあります。
ABAは主に行動の変化を通じて学習やスキルの獲得を促進し、問題行動を削減するために使用される心理学的な方法論です。
双方の主な違いを見てみましょう。
1.アプローチの特性
TEACCHプログラムは、環境の適応とビジュアル支援を重視するアプローチです。
個人のニーズに合わせた特別な学習環境を提供し、ビジュアルスケジュール、指示カードなどを使用して
個人の理解と自己管理を支援します。個人の自己決定権を尊重し、自己ケアスキルの向上を奨励します。
対してABAは行動分析を基盤とするアプローチで、まずは具体的な行動目標を設定し、
その目標の達成を追求するための計画を立てます。望ましい行動の増加や問題行動の減少が主な目標です。
目標行動の分析、ポジティブな部分の強化、フィードバックのループを通じて、
短期的な目標の達成を積み重ね長期的な目標を達成することを目指します。
2.アプローチの目的
TEACCHプログラムの主な目的は、自閉症を抱える人が自己決定権を持ち、独立性を高め、
自己ケアスキルを向上させることを通じて生活の質を向上させることです。個別の支援と環境の適応が中心です。
ABAでは、望ましい行動の獲得と問題行動の削減に焦点を当てています。
行動の変化を通じて学習を促進し、社会的なスキルや言語スキルの向上を目指します。
3.支援者
TEACCH: TEACCHプログラムは、特に教育者、職業療法士、言語療法士、および親など、
さまざまなプロフェッショナルが協力して実施できるように設計されています。
対してABAは行動アナリストやABAの専門家によって実施され、データ収集や行動計画の開発に専門的なスキルが必要です。
どちらのアプローチも自閉症スペクトラム障がいの人々に支援を行ないますが、
そのアプローチには違いがあり、個々の状況によってニーズが異なる場合があります。
TEACCHプログラムにおける具体的な支援

TEACCHプログラムに基づいた具体的な支援方法として「構造化」というものがあります。
構造化では、特定の目的を持って環境やタスクを整理し、視覚的な支援を提供することに重点を置いています。
1.環境の整理
学習環境や日常生活の環境を整理し、混乱や過刺激を減少させるのが狙いです。
物品や材料の配置を統一したりカーテンなどで仕切ったりすることで、
より集中しやすくなりタスクに取り組みやすくなります。
2.ビジュアル支援
ビジュアルスケジュールや指示カード、アイコン、シンボルを使用したり、
写真やイラスト、色分けなどをして視覚的に物事を理解しやすくすることで、
タスクや活動を理解し、実行するのに役立ちます。
3.スケジュール管理
時間を視覚的に示す時計やタイマーを使用して、個人がタスクの進行状況を把握しやすくし、
タスクの切り替えや時間の区切りをサポートします。
4.タスクの段階化
複雑なタスクを小さなステップに分解し、段階的に進める方法を使用することも構造化の一部です。
これにより、大きな課題をより管理しやすくなります。
またタスクの手順を視覚的にルーティン化し、終わったら次に何をするかを明確にして取り組むシステムを作ります。
これらの構造化により、日常生活や学習に参加しやすくなり、自己決定力を高めることができます。
また構造化には様々なアイデアがあり、自宅を含む多くの場所で取り入れることが可能です。
重要なのは、個々で必要な構造化が異なることです。
個人の能力や特性に応じて行い、成長に合わせて変化させることが必要となります。
まとめ

いかがでしたか?
発達支援の需要が年々高まる中、個人の特性や個性を尊重し、
ひとりひとりに合った支援を行うことでその成果は最大限発揮されるでしょう。
TEACCHプログラムの理念は、自閉症に限らず他の発達障がいを支援する上でも
大変学ぶことが多いように思います。
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