療育における感覚統合療法とは?期待できる効果や方法について紹介
コラム
2023/12/19
福祉の仕事について調べていると目にする「感覚統合療法」という言葉。「何のことかわからない」、「どういった効果があるのか知りたい」という方の為に、この記事では感覚統合療法とは何か、という所から、期待できる効果、実際に実施する際の流れなど、詳しく解説していきます。
もくじ
感覚統合療法とは

身体に刺激が加わったとき、私たちはそれを感じる「感覚」というものが備わっています。有名なものでは五感と呼ばれる「触覚」「嗅覚」「聴覚」「視覚」「味覚」がありますが、その他に「固有受容覚」と「前庭覚」というものの合計7つがあります。
五感は説明不要だと思いますが、あまり馴染みがない「固有受容覚」は手足の状態、筋肉の伸び縮み、関節の動きを感じる感覚で、「前庭覚」は身体の動きや傾き、スピードを感じる感覚です。
日常生活では様々な感覚器官から、絶えず刺激が送られてきます。それを脳が分類したり、整理したりすることを「統合」といい、この機能が正しく働いていれば、正しく感覚を整理し、取り入れることができます。しかし、この機能に不具合があると、次々に入ってくる感覚の量や強弱を調整することができず、混乱してしまいます。
「感覚統合」とはつまり、この7つの感覚を整理したり分類する機能です。この機能が正常に働いていれば、その場面に応じた感覚の調整、注意の向け方などができるようになり、自分の身体の状態を把握したり、道具を上手く使いこなしたり、相手とコミュニケーションを取って周囲の状況を踏まえた行動ができるようになります。
発達に遅れがある子供や、発達障がい児はこれらの機能が低下している状態で、特に「触覚」、「固有受容覚」、「前庭覚」に問題があるとされ、こういった子供たちに遊びを通じて感覚統合療法機能の向上を目指すのが有効とされています。まず、それぞれの感覚に問題があるとどういった状態になるのか、順に見ていきましょう。
1、触覚
触覚には物に触れた場合に「識別する役割」と「防衛する役割」があります。「識別する役割」は手で触れた物を質感や形で判断するなどの働き、「防衛する役割」には熱いものや尖った物を危険と判断する働きがありますが、触覚に問題があると、「防衛するや役割」にバランスが傾き、必要以上に怖がってしまいます。
例えば歯磨きや散髪、泥遊びなど、場合によっては抱っこなどのスキンシップも「不快」に感じてしまいます。
2、固有受容覚
固有受容覚は前述の通り、手足の状態、筋肉の伸び縮み、関節の動きを感じる感覚ですので、これに問題があると、手足を動かす感覚がわかりづらく、身体の位置や動きを捉えるのも難しくなってしまいます。
例えば力加減のコントロールや細かい動きが苦手になり、物を乱暴に扱ったり、箸を上手く使えない、ボタンをとめれない、体操が苦手などの特長が見られます。
3、前庭覚
前庭覚も前述していますが、身体の動きや傾き、スピードを感じる感覚なので、これに問題があると姿勢を保てなくなったり、眼球運動や自律神経に影響が出てきます。
例えば、自分で姿勢を保てないので、上手く椅子に座れなかったり、物を見続けることが出来ないので球技などのスポーツが苦手、自律神経に影響が出ていると、頭の位置が変わることに過剰に反応したり、逆に鈍感になって激しい揺れでも酔わなかったりします。ぼんやりして目覚めていないような状態になることもあります。
感覚統合療法に期待できる効果

感覚統合を発達させるには「触覚」、「固有受容覚」、「前庭覚」を刺激したり、身体を動かすことによって効果が得られます。感覚の刺激には子供が興味を持ちやすい「遊び」を通しておこなっていきます。
例えば身体の傾きや動きを意識して遊ぶには、公園にあるようなブランコや滑り台などの遊具を使うと効果的ですし、砂場遊びや粘土遊びでは触覚に対してアプローチしやすくなります。音楽や絵本など、聴覚、視覚を通して複合的に刺激を与えるのも良いでしょう。子供によって個性があり、発達させたい感覚もそれぞれなので、効果的な遊びを通して感覚統合療法の発達を目指します。
これらを効果的におこない、感覚統合療法が発達すると、自己認識や社会性が育まれ、「対人関係でのコミュニケーション力の向上」、身体のバランス感覚やコントロールが上手くなり「細かい作業がスムーズにできるうようになる」、空間認識能力や注意力が高まり、「落ち着いて物事に取り組めるようになる」などの効果が期待できます。
もちろん、取り組んですぐに効果が期待できる訳ではありません。長い時間をかけれ、少しずつ改善に向かっていきますので、大切なのは「子供に無理をさせたり、過剰に刺激を与えたりしないこと」、「子供の自主性を尊重し、個性や発達段階に合わせておこなう」など、子供の様子を見ながらおこなうことが重要です。
感覚統合療法を行う際の流れ

では、実際に感覚統合療法をおこなう際の流れを見ていきましょう。3つのタイプに分けて解説していきます。
1、感覚過敏、感覚鈍麻
感覚過敏で触られることや大きな音に過敏に反応してしまう子供には、「感覚刺激を防衛して、安心感を得られる」状態を作ってあげることが大切です。帽子や耳栓、室内遊び用のテントなどを上手く活用し、砂場遊びなどの触覚を刺激する遊び、幼児用の落下防止ブランコなどで安心感とともに身体の位置や傾きを感じる遊びなどが効果的です。
逆に感覚が鈍く、覚醒していないような状態の感覚鈍麻の子供には、適度に刺激を与えるような遊びをおこないます。手足をくすぐる遊びで身体感覚を刺激したり、トランポリンで身体の体幹やバランス感覚を鍛えるのも効果的です。
2、感覚の識別が苦手
形の違いがわからなかったり、味や音の違いなどを判断できない「感覚の違い」を識別することが苦手な子供には、必要な情報の元になっている感覚と、そうでないものの違いを明確にするような支援をします。
例えば食事をワンプレートにして、他の人の食事との境目を明確にしたり、おもちゃを片づける時に決められた位置になるようにマークやシールなどをつけておいて視覚的にわかりやすくするなどが有効です。
3、姿勢の維持や運動が苦手
姿勢が崩れやすかったり、運動が苦手な子供は、前庭覚や固有受容覚の情報が脳に届きにくいことが影響してます。また、細かい作業が苦手だったり、眼球運動が鈍いことも
あります。
この場合、正座や立位の時間を決めた維持練習や、ボールプールを使って、触覚からの刺激と身体の状態を感じる感覚を育てる遊び、ビーズに紐を通す遊びで、視覚と集中力に働きかける、などが効果的です。
まとめ

感覚統合療法について詳しく見てきましたが、やり方次第では育てることが可能であるということがわかっていただけたと思います。勿論、一人一人にしっかり向き合って、時間と労力を費やす必要がありますが、一人でも多くの子供が笑顔で過ごせるようになるなら、とても素敵な事ですよね。是非チャレンジしてみてください。
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