療育における運動療法とは?微細運動と粗大運動の違いや実施方法について紹介

コラム

2023/12/19

 

福祉の仕事について調べていると、時折目にする「運動療法」という言葉。仕事で関わるかも知れないので詳しいことが知りたい。という方の為に、この記事では運動療法とは何かというところから「微細運動」、「粗大運動」その違いや効果まで詳しく解説していきます。

 

もくじ

運動療法とは

微細運動と粗大運動の違いと期待できる効果

微細運動と粗大運動を行う際の流れ

まとめ




運動療法とは

運動療法とはExercise therapyと表記し、身体の全体、もしくは一部を動かすことで、症状の軽減や機能の回復を目指す療法です。治療体操、機能訓練とも呼ばれ、その名の通り、運動すること、身体を動かすことを治療法として用います。理学療法士がおこなう治療でも「日常生活活動訓練」、「物理療法」と並び、主要な治療法の一つとなっています。

 

運動療法は、基本的には骨折や脊髄損傷などの外傷の治療が終わった後の回復期や人工関節の手術後、脳卒中の後遺症で手足に麻痺が残った場合など、もしくは高齢者が介護を必要とせずに自立した生活を持続させる為の身体機能維持目的、さらにはスポーツ選手がケガをした場合などのスポーツリハビリにも取り入れられています。

 

このように、基本的にはケガや高齢者のリハビリに用いられる療法ですが、今回は「療育」の観点から紹介していきます。

 

○療育における運動療法

子供の手先に不器用さを感じる場合、多くは身体機能が未発達であるという理由が考えられますが、周りの子供と比べて発達が遅いと感じたとき、不安を覚える保護者の方も多いと思います。今回紹介するのは「運動療法」を取り入れる事によって身体機能の発達を促して、不器用さを改善していく方法です。

 

まずは、不器用に感じる「原因」を見ていきましょう。

 

1、苦手な運動がある

幼児から児童くらいの年齢の子供は箸が上手く使えなかったり、キャッチボールが苦手だったりと、ところどころで不器用さを感じる場面に遭遇します。しかし、成長していくと徐々にスムーズになっていくことも多く、年齢によって判断基準が変わってきます。身体全体を使った運動と、手先などを使った細かい運動、そのどちらかもしくは両方が苦手だと不器用に感じてしまいます。

 

2、障害特性

代表的な障害特性である発達性協調運動障害を持っている場合、複数の身体部位を連動させる動きが苦手になり、左右の手や手と足、手と目などを一緒に動かす「協調運動」が思ったようにできなくなります。例えば球技などでボールを目で追いながら足で蹴る、手でキャッチする、などが上手くできない傾向にあります。

 

障害特性からくる「不器用さ」の場合、専門機関などに相談して適切な療育を受ける必要があります。発達性協調運動障害であれば、アセスメントテスト(MABC-2やJPANなどの感覚処理機能の検査)の結果に基づき、医師が診断します。

 

 

 

微細運動と粗大運動の違いと期待できる効果

では先ほどの「苦手な運動」の中で出てきた「身体全体を使った運動」と「手先などを使った細かい運動」に着目していきましょう。

 

1、粗大運動

前述の「身体全体を使った運動」がこれに当たり、大きくてまとまりのある動き、身体全体を使って歩く、走る、ジャンプなど、激しい運動だけでなく、姿勢の維持や身体のバランスを取ることなどもこれに含まれます。これは感覚器官からの情報に基づいておこなう、姿勢や移動に関する運動全般を指すもので、発達状況に従って変化したり、日常生活で身につくのが特長と言えます。

 

2、微細運動

前述の「手先などを使った細かい運動」がこれに当たり、細かく複雑な動き、文字を書く、箸を使うなど、練習して身に着けるものもあれば、生活の中で自然に身に着くものもあります。感覚器官から得た情報と、基本の粗大運動をもとに、小さい筋肉を運動させておこなわれます。日常生活においても、おこなわれる頻度に個人差があるのも特長といえます。

 

この2つの運動を運動療法によっておこなうと、様々な効果が得られます。それぞれ見ていきましょう。

 

まず、粗大運動をおこなった場合、身体の様々な感覚、五感(視覚、嗅覚、味覚、聴覚、触覚)と固有受容覚、前庭覚に刺激が入ります。これにより身体の使い方を学ぶことができ、「身体のバランスを保てる」、「力の加減がわかる」、「身体の動きのイメージができるようになる」という効果が期待できます。

 

手先を上手く使う為には活動しやすい姿勢をつくることが重要です。肘をついたり身体を支えながらだと力のコントロールが難しくなってしまいます。つまり、粗大運動で身体の土台作りをすることで、微細運動が上達していくということにつながるのです。

 

次に微細運動で期待できる効果ですが、微細運動によって促進されるのは細かく複雑な動きです。箸が上手く使えなかったり、ボタンが上手くとめれない子供は「指を上手く使い分けられていない」ことが原因の一つです。微細運動の促進をおこなうと、それぞれの指がバラバラに使えるようになり、器用さの向上に繋がっていきます。

 

 

 

微細運動と粗大運動を行う際の流れ

実際に運動療法をおこなう際の流れを、場面ごとに順に見ていきましょう。

 

1、粗大運動

○外でできる運動

公園の遊具やアスレチック施設などは、身体のバランスを取る感覚や筋肉を育てるのに適しています。滑り台やブランコ、雲梯など楽しみながら粗大運動をおこなえますし、費用もかからないのでお勧めです。また「ボールプール」での遊びを取り入れることができると、触覚や視覚、聴覚なども刺激でき、複合的に効果がでてきます。

 

年齢が上がってきたら様々な道具を活用してみると、飽きずに取り組めるようになります。例えばキックボード、バランスボールであれば一人でも遊ぶことができますし、友達や家族と一緒なら球技で身体を動かすのも良いでしょう。

 

○室内でできる運動

片足立ちの練習や目標位置を決めてジャンプ、簡単なダンスなど、道具を使わないで簡単にできるものから、最近では身体を動かすゲームも普及していますので、上手に取り入れると効果が期待できます。

 

とにかく飽きないように工夫して、楽しんでおこなうのが続けていく秘訣です。

 

2、微細運動

○遊びの延長での運動

手元をしっかり見ながら手を動かすことで、身体の動きと目の動きを連携させて協調運動を促進することができます。例えばハサミで紙を切ったり工作をする、粘土遊び、絵を描いたり塗り絵など、前庭覚と視覚を連携させます。

 

バランスボールに乗ったままテレビを見るなども簡単ですが効果があります。

 

○日常生活の中での運動

わざわざ専用の道具を買ったりしなくても、日常生活の中でトレーニングする方法はあります。例えば、箸で小さい食べ物を掴む練習やスプーンを上手に使う練習、靴ひもを結んだり洋服のボタンをとめるなど、工夫次第で色々と取り入れることができるはずです。

 

重要なのは子供が楽しんで続けられることです。その為にはゲーム感覚で出来るように工夫したり、目標を達成したらご褒美がもらえるなど、無理なくでき、達成感も得ることができます。

 

 

 

まとめ

療育における運動療法を見てきましたが、子供の成長は楽しみな半面、不安もたくさんあり、判断が難しい場面もたくさんあります。一緒に悩んで、頑張って、子供が苦手を克服できたとき、一緒に喜んであげれるのもまた療育の素敵なところだと思います。是非チャレンジしてみてください。

 

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