療育における言語療法とは?期待できる効果や方法について紹介
コラム
2023/12/19
福祉の仕事について調べていると、時折目にする「言語療法」という言葉。言葉を使った治療法なのだろうと予想はつくけど、詳しいことがわからないので知りたい、という方の為に、この記事ではそもそも言語療法とはという所から、期待できる効果、実際に実施する際の流れまで、詳しく説明していきます。
もくじ
言語療法とは

言語聴覚療法とも言います。病気、ケガ、発達上の問題で、言語、聴覚、発声、発音の機能が損なわれると、言葉によるコミュニケーションに問題が生じ、場合によっては摂食、嚥下障害も併発します。このような障害(失語症、運動障害性構音障害、高次脳機能障害、発音発声障害、言語発達遅滞など)に対し、評価して訓練をおこなうのが言語療法です。
この記事では「療育」の観点からの言語療法に着目していきます。
療育における言語療法は、発達障害や自閉症スペクトラム、その他言葉が遅い幼児期の子供を対象におこなわれ、発音、発声の練習、質問の受け答えの練習、日常会話、コミュニケーションやゲームなどの遊びの中で言葉を伸ばす訓練をします。
発達障害や自閉症スペクトラムを持っている幼児期の子供は、言葉が遅い、会話が上手にできない、コミュニケーションが苦手などの特長があり、言葉の意味を理解できず、大人の言った言葉の真似をする「オウム返し」をしてしまったり、質問の意味を理解できなかったりします。
そのような子供たちに質問の意味を理解すること、会話、コミュニケーションの方法、正しい日本語などを教えていくのが療育における言語療法です。ただし、厳密に「言語療法」と呼ばれる形態でおこなわれるのは4〜5歳くらいが対象で、2〜3歳前後の子供には「作業療法」を受けさせる場合が多いです。
○言語療法と作業療法の違い
言語療法はその名のとおり、純粋な言葉の療法になります。実施の仕方としては、椅子に座ってテキストを使った「指さし」や、会話をしたりと「お勉強型式」でおこなわれますので、2〜3歳の子供だと、まず椅子に座ってじっとしているのが難しくなってきます。ですので、年齢が進み、4〜5歳になると言語療法をおこないます。
対して椅子に座ってじっとしているのが難しい2~3歳の時期では、机に向かうのではなく、おもちゃや遊具を使って「作業」をしていく遊びのなかで、身体や手先をつかった訓練を取り入れ、その中で言葉を促すという作業療法が中心となってきます。例えば、自分の要求を言葉で表す「ちょうだい」や「かして」、「かわって」など幼児期の初期の言葉を引き出すのが目的となってきます。
どちらを受けるかに関しては実際に子供を見て医師が判断します。言葉が出ない、二語文が出ない、机に向かって先生の指示に従えないなどの子供は作業療法になることが多いです。
言語療法に期待できる効果

言語療法では、知識をつけたりコミュニケーションの能力を高めていくことが主になってきます。内容としては、発達上や日常会話で上手く行っていないところを部分的に訓練していきます。発音、語彙を増やす(名詞、動詞、形容詞などを絵カード等使いながら)、質問の受け答え、言葉を言葉で説明する練習、順序だてて話す練習、話を作る練習などをおこない、子供の反応を見ながらすすめます。
すぐに成果が出る訳ではありませんし、個人差がありますが、段階的に続けることによって、語彙が増えて豊かになる、発音が整う、質問の受け答えなどの会話が可能になる、など、少しずつ効果が出てくるでしょう。
言語療法を行う際の流れ

言葉を話せるようになるには「言葉の意味」を理解していることが重要になってきますので、話す練習と同時に、理解できている言葉を増やしていく必要があります。子供それぞれ得意不得意がありますので、個性や発達状況を見ながら達成可能な目標設定をしてプログラムを組んでいきます。流れを段階的に見ていきましょう。
1、言葉を覚える前
まだ言葉を覚えていない段階では、前述の通り「作業療法」をおこなっていきます。知識や認知の発達、人との関わりを学び、おもちゃや遊具を使っての遊びを通して認識を深めていきます。
コミュニケーションを取る中で、動きを真似したり、バイバイなどのジェスチャー、指さしなど言葉以外のやり取りもたくさんおこなうと効果的です。
2、単語が出始める
言葉はまず名詞から覚えていきますので、身の回りにあるものの名前を覚えます。名詞がある程度増えてきたら、徐々に動詞や形容詞など覚えていき、「くるま」だったものが「あかいくるま」という形に変わって表現力が高まっていきます。
このような順序に沿って、獲得したい語彙を決めて指導をおこなっていきます。また、この時期は単語全てを言えず、語尾だけになってしまったり、あやふやな発音になってしまうことも珍しくありませんが、一文字ずつ正しい発音を教えるよりも、日常的に使うようにして、耳で言葉のニュアンスを覚えさせる方が効果的です。
3、言葉を繋げる
名詞以外にも言葉が増え、動詞や形容詞など覚えてきたら、2語文、3語文と進んでいきます。このときに言葉を繋げるルールである「文法」も獲得を目指します。
文法は言葉の発達に遅れがあると、規則性の理解が難しく、日常生活でのリスニングだけでは習得できないこともあります。この場合はシンボルを使った構文指導などで丁寧に理解を促します。
4、相手と会話をする
文法を理解して文章が作れるようになると、相手との簡単な会話ができるようになってきます。個人差はありますが、それが難しく、受け答えができなかったり「オウム返し」になってしまようであれば、「質問の意味がわからないのか」、「どう答えたらいいかわからないのか」などの背景を探って、指導につなげていきます。
もちろん質問に答える以外にも、思っていることを説明する力を養う必要があります。話す内容や順番を、絵やカード、文字などで視覚化して組み立てる練習などで習得を目指します。
このように段階に分けて適切な指導をおこなう事で、言葉の発達を促していきます。どの段階でも言葉や文章を「理解する」ことを先行させ、実際の発語につなげていくことが重要です。
子供によって得意不得意がありますので、個性と状況をよく見極めて絵カード、ミニチュア、写真、絵本、おもちゃなどの使用に合わせ、最近ではパソコンやスマホ、タブレット端末なども活用すると有効です。
まとめ

言葉の発達は、本来ならば日常生活の中で自然と獲得していくものですので、子供にとっては日常生活や遊び、人とのやりとりが学びの場になります。上手くいかなくても、手伝ったり正しい指導をしてあげることで、伸ばすこともできます。たくさん子供と触れ合ってコミュニケーションを取り合うことが療育の基本になってきますので、是非チャレンジしてみてください。
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